一般財団法人 東洋運勢学会

特集・節気刊運勢学

第4回 印相

三須啓仙

4月20日 穀雨

印と印相

 人に人相があるように、印(いん)にもそれぞれの印相があります。
 印の歴史は、はるか中国古代の秦の始皇帝(しこうてい)の以前にさかのぼりますが、我国で『印判(いんばん)』や『押字(おうじ)』の形(相)から人の運勢を占うという相法が一般に広まったのは江戸中期ごろからです。
 「印判秘訣集」(享保十七年刊)や「名判集成」など、以後の文献や印形が印相研究の対象となっています。
 当時は「印は首と引き替え」といわれ、一身一家のお護りとして大切に扱われたものでした。
 現代生活は、ますます印鑑との結びつきが密接になってきています。出生の届けから進学、就職、結婚と人生のあらゆる節目に印鑑が登場します。最近は若い人たちから「実印がほしいんだけど、どう作ったらよいでしょうか……」と、相談をうけることが多くなりました。
 マイホームやマイカーの購入のローンの手続きや、保険契約には実印と印鑑証明が要求されるからです。
 何かといえば、印がなければ事のすまないハンコ社会日本、そのわりに印にまつわる知識、知恵は不足しているようです。