一般財団法人 東洋運勢学会

特集・節気刊運勢学

第8回 墓相

林 隆造

6月22日 夏至

生きとし生けるもののなかで、墓のあるのは人間だけです。人間が墓を作るのは、誰もが必ず死に直面することを知っているからです。
 死という必然性に対して恐れるのは、死後の世界が未知だからで、死後の世界を安穏でありたいと望むのは当然のことです。
 この死の恐れから逃れることはできないかと、昔から人間は考えてきました。そして、人間が死を迎え、肉体は滅びても、滅びのない何かがあればと願うようになり、肉体は滅びても、滅びのないものとして、霊魂(たましい)という形而上の概念を生みだし、信じてきました。
 霊魂は、万葉集や平安時代の文学に「たま」として諸処に表現されています。現代では、人間の霊魂は「いきたま(生霊)」と呼び死体と離れた直後の霊魂は「あらたま(新霊または荒魂)」として恐れられてきました。 「あらたま」は生に対しての執着があり生きている人間に、とりつきたいとしています。特に不自然な死に方をした「たま」にその傾向が強く、怨霊として恐れています。
 一方、墓の誕生の歴史をみると、古くは私たちの遠い祖先のネアンデルタール人は、すでに遺体を埋め、弔っていたと記録が残っています。紀元前二千年に建てられたギゼーのピラミッドは、エジプト王の権力の象徴と、生前に変わらぬ死後の世界を意識して作られたものです。秦の始皇帝の墓は、七十万人の人間を動員して作られ、お墓の内部は豪華な宮殿になっており、宝物で満たされた部屋がしつらえていました。
 また、日本においては、土盛りの古墳を時の権力者が作り、地下には石室が設けられて、死後の生活に使うための生活必需品などが納められていました。
 このように、古今東西を問わず、人間は死後の世界のやすらぎを得るため、墓は良い形態を成しているのが、人間の死後の世界が安穏であると考えて、墓を建て、故人を祀り、礼を尽くしてきました。
 墓を祀るということは、自分ばかりでなく子孫代々が生から死への儀式を受け継いでいくことです。私たち人間は、先祖があって今の人間があるわけで、墓所は、亡き人と語り合える交流の場所でもあります。
 その墓の相について、家の相の吉凶が住者の運命に大きく作用するように、墓相の吉凶が、墓を守る人及びその家族の運命にまで影響することを発見し、明治以後特にその研究が進められ、今日に至りました。

吉相の墓地

墓地は、ご先祖様が安らかに眠っていただける環境、すなわち太陽の陽がよく当たり、草木がほどよく茂り、明るく清浄なところを選ぶべきです。この条件を持っているのは、墓地全体が東南に開けた斜面に位置するところで、背中に山、前面に川が流れていれば、雨が降っても乾きが早くなり、吉相の墓地といえます。
 地形としては、欠けのない四角形が長方形の平坦なところが良い地相となります。
 しかし、墓地の相がよくても家族や子孫に至るまで、供養されなければ何の意味もありません。良い墓地を選ぶには故人の供養が続けられる環境でなければなりません。したがって、生活の場から離れた遠隔地は避けたほうがよいでしょう。家族が揃って、お墓参りができるところをまず選ぶべきです。
 また、墓地の運営管理をしっかりやっている事業体を選ぶことも大切なことです。